昔の子供たちの遊びの中で、季節を問わず人気のあった遊びに 「ベーゴマ」と「パーぶち」がありました。
「ベーゴマ」は駄菓子屋の定番でいつ行っても間違いなく売っていました。 鋳物製のこまで、大きさはコマの上面が丁度500円玉くらいで六角形をしていました。 その上面には色々な文字が浮き出しになっていて、それは大概、野球の選手だったり相撲の力士だったり、漫画のヒーローだったりしました。 それらの文字から好きなものを選んで買ってきたのです。 ベーゴマを廻す紐が無い時にはそれも一緒に買ってきます。 これは1mほどの太い麻紐(?)で片側に五円玉ほどの受けが着いていました。 紐はその反対側に1,2cm間隔で結び目を二つ作っておきます。 この結び目はベーゴマに紐を巻くときの掛にするのです。 コマのほうですが、これはこのままでも取り敢えずは廻ります。 でも、これでは腰が高くて不安定なので下側の円錐になった底の出っ張りの部分を削ります。 削るのにはもっぱらコンクリートを使います。 アパートの周りにはコンクリートを流した犬走りのような部分とか階段がたくさんなりましたから、これにゴリゴリとベーゴマをこすり付けて削っていくのです。 さらに同じように上面の角を削っていきます。 6面の過度を鋭角にピカピカに削るのです。 これらはかなり根気の要る仕事でしたが、そうしないとベーゴマが強くならないので一所懸命にやったものです。 グラインダーを使えればよかったのでしょうが、そんなものを持っている子はいませんでした。 さて、そのベーゴマの遊び方ですが、何人かが集まると最初に漬物樽を用意します。 昔は探せば何とかこの木の樽が見つかったのです。 その上にゴザを敷き、真ん中当りを少し凹ませます。 ゴザが無い時には厚手のビニルシートで代用します。 ゴザやシートがずれない様に周りを紐で縛ったりもしました。 準備ができると、この樽の周りに子供たちが集まり次々にゴザ目掛けてベーゴマを廻し入れます。 ベーゴマは廻りながら真ん中に集まります。 そしてコマ通しが角をぶつけ合い、弱いコマは外へはじき出されます。 はじき出されたコマが負けで、はじき出したコマの持ち主のものになります。 外へ飛ばされなくともぶつかってひっくり返ったものも負けですが、特例があって、ひっくり返される前に持ち主が手のひらで押さえれば負けになりません。 こうしてベーゴマで遊んだのです。 負けたほうはベーゴマを取られますが、近所の普段から遊んでいた仲間内でやったときには最後にはコマを戻したのではなかったでしょうか。 ただ、遠征してきた相手とやるときにはそうは行きません。 取られたら取られたままですから、この時には緊張したものです。
「パーぶち」は一般的には「メンコ」といわれているものと同じです。 四角または丸の紙の札に、これも野球の選手や漫画のヒーローがカラー刷りがされていていました。 四角の方は名刺位の大きさだったでしょうか。 厚みは色々ありました。 丸いほうも大きさは色々でしたが、厚みは薄いものだけだったような気がします。 遊び方はこれも一般的で地面に書かれた四角や円の中に数枚のパーぶちを置き、順番に自分のもので相手をはじき出す、または相手のものを裏返したほうが勝ちになります。 「パーぶち」は雑誌の付録についていたり、駄菓子屋で買ったりして当時の子供たちの間では絶大かつ安定した人気があったものでした。 お菓子の入っていた紙の箱をもらって、その中に何枚も集めて宝物にしていました。
2003.08.9